@article{oai:shitennojiuniversity.repo.nii.ac.jp:00000134, author = {坂田 , 達紀}, issue = {64}, journal = {四天王寺大学紀要}, month = {Sep}, note = {" 村上春樹の「青が消える(Losing Blue)」は、1992 年に海外の雑誌に発表され、2007 年からは(日本の)高等学校の国語教科書にも採録されている、文字数にして4200 文字の短編小説である。他の多くの村上作品と同様、表面的ないし表層的に読むのは易しいが、その内側ない し深層を理解するのはそれほど簡単ではない、つまり、結局何を言おうとしているのかが単純には捉えられない小説である。  本稿では、文体論の観点から、この小説の表現・文体の分析・考察を試みた。析出された文体的特徴は、次のとおりである。  ⑴ 異様な冒頭表現に異化効果およびサスペンス効果が認められる  ⑵ 悪夢が説明抜きで叙述(描写)されている  ⑶ 非現実を現実化する仕掛け(「炭取が廻る」仕掛け)が仕組まれている  ⑷ 様々な意味(寓意)が読み取れるアレゴーリッシュな文体である  ⑸ ユーモアの要素が見られる  「自分のことを生まれつきの長編小説作家だと思っている」村上春樹にとって、短編小説は長編小説のいわばプロトタイプ(原型・試作品)と考えられるので、上の特徴のうちのいくつかは、当然、長編小説にも見出されることが推測される。したがって、これらの特徴が、いわゆる「村上春樹らしさ」ないしは「本来の「村上春樹的」小説世界」を形づくる要素と考えられる、と結論づけた。  加えて、村上春樹が文体によって「見分けのつかない、無明の世界」を明かそうとしていること、そして、その文体が批評性を持っていることも指摘した。  本稿の分析・考察の結果は、現行の高等学校学習指導要領の「指導事項」に、「表現の特色に注意して読むこと」という文言や「書き手の意図をとらえたりすること」という文言が見られることに鑑みて、この小説を国語教材として用いる際にも役立つものと考えられる。"}, pages = {7--30}, title = {村上春樹「青が消える(Losing Blue)」の文体}, year = {2017}, yomi = {サカタ, タツキ} }